刑務所車検をやってみた
刑務所車検は車検を安く済ませる方法としてテレビやネットで紹介されているが、実際に刑務所車検をやったという記事はあまり見当たらない
そのため、私が実際に刑務所車検をやった記録を残しておきたいと思う
刑務所車検を行った時期は2019年3月
(刑務所車検を知らない人はググって)
先に結論
多少安くなるかもしれないが、手間と時間を考えると人を選ぶ車検
結果だけを見たい人は車検代比較・考察へ
以下説明
- 環境・条件
- 手続きの流れ
- 1. 電話で刑務所に車検を受け付けているか確認・見積もり依頼
- 2. 数日後刑務所から電話・見積り額を伝えられる
- 3. 刑務所に車を持っていく
- 4. 再び刑務所に赴き車を受け取る
- 車検代比較・考察
- おわりに
環境・条件
車 :ワゴンRソリオ(初年度登録平成18年) 走行距離:約10万km
希望 :あと1年ぐらい走れる程度の車検
車検場 :盛岡少年刑務所
私 :車に詳しくない
車はワゴンRソリオという見た目軽の普通車である。これは譲ってもらった車で、譲ってもらった時の走行距離は7万kmぐらいだった。私は車に詳しくなく、車検では整備士の説明を聞いて初めて車のダメになっている部分知るタイプだった。当時は大学院生で、卒業まであと1年だったため、車はあと1年走ってもらえる状態に直してもらえれば十分だろうという認識だった。
手続きの流れ
私が刑務所車検を申し込み、車検を受けた流れを示す1. 電話で刑務所に車検を受け付けているか確認・見積もりを依頼
- 電話で注意事項などの説明を受ける
- 私は車の情報を伝える(車種・車検期日・直して欲しい部分など)
- さらに、車検代がいくらかかるかを尋ねた。回答は後日となった
2. 数日後刑務所から電話・見積り額を伝えられる
- 車検代の見積もりの回答と車検を受けるかの確認
- 私は車検を刑務所にお願いすると回答する
3. 刑務所に車を持っていく
- 刑務所に車を入庫する
- 前金を払う。代車はなし
4. 再び刑務所に赴き車を受け取る
- 前金以外にかかった料金を支払い、車検終了
これらの手続きについて、詳しく説明していく
1. 電話で刑務所に車検を受け付けているか確認・見積もり依頼
まずは本当に刑務所車検を受け付けてくれるのかを確認ググれば刑務所車検を受け付けている刑務所一覧が出てくるが、確認する必要はある
公式サイトでの確認としては、以下の「刑務作業をご利用される方へ」のサイトで自動車整備の項目が書かれている刑務所が、車検を受け付けている刑務所だと思われる
http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/KEIMUSAGYO/sagyo/sisetuGyoshu_kunren.html
電話をすると、「ガイダンスに従って番号を押してください」と言われるが、どれを押せばいいのか分からなかったため放置していると、その他の受付として勝手につないでくれた。私が電話をかけた時は、担当の方が不在だったため、折り返し電話をいただいた。
電話では刑務所車検の注意事項を説明される。主な注意事項は以下の通り
- 刑務所車検は時間がかかる(最低でも1~2週間)
- 車内に置いてあるものは全て撤去した状態での引き渡しが必要(ナビやETCなどの撤去不可の物は別)
- 代車はない
このあたりは想定内なので、特に驚くことはないと思われる
次に、私は車検代がいくらぐらいになるのかを尋ねた
ここで、あと1年ぐらい走ってもらえれば十分であることと、修理してほしい部分を伝えた。私は車に詳しくないのになぜ修理して欲しい部分を伝えられたかというと、別の会社で車検見積もりを受けており、そこで直した方がいいと言われた部分をそのまま伝えたからである。別会社の車検見積もりを以下に載せておく。
A社
B社
修理して欲しい部分としては、
- ファン・エアコンベルト交換
- ヘッドライト内部に水滴があるため、それの補修
であった
ベルトはもう千切れそうだと整備士の方に言われていた。ヘッドライトは以前からなぜか水滴が侵入しており、整備士の方から説明を受けるまでもなく修理は必須だろうと思っていた。
これらを担当の方に伝え、車検代の見積もりは後日回答するとのことであった
2. 数日後刑務所から電話・見積り額を伝えられる
1週間後ぐらいに刑務所車検の担当の方から電話があった見積り額は8万程度であると伝えられた
ただし、実際に車を見て見積もりをしていただいたわけではないので、車検の際に車を見て他に修理が必要である部分が見つかれば、その分の費用を加算されると説明を受けた。ただし、もしそのような部分があれば逐一連絡をいただけるとも伝えられた。ここで、前金として法定費用を車を刑務所に入庫した際に支払ってもらう必要があるとも言われた。
そして、車検を受けるかどうかを尋ねられ(後日回答でもよいと言われた)、私は面白そうだし刑務所車検にしようと思い、その場で刑務所に車検をお願いしますと回答した。車検にかかる日数は10日ほどであると伝えられた。
3. 刑務所に車を持っていく
刑務所に車を持っていくが、入り口の時点で「関係者以外立入禁止」の看板があり、守衛等もいなかったため、どうすればいいか分からなかった。そのため、刑務所車検担当の方に電話をし、車をどこに入れればいいかを尋ねた。尋ねた結果看板を気にせず入ってよいと言われ、中に入り、来客用の駐車場に車を止めるように誘導された。車を降り、車内に物が残ってないかの確認をした
この後、車検担当の方が刑務官詰所に案内をしてくれた(ちょっと緊張した)
その際に、「どこで刑務所車検を知ったのか」・「なぜ刑務所車検を選んだのか」などを雑談程度に聞かれた。車検担当者の話によると、受刑者の友人・知人等が、社会復帰?の支援として刑務所車検を依頼するケースもあるらしい。そのため私が受刑者の友人や知人ではないかとも聞かれた。
刑務官詰所では、車検についての説明を再び受けた
以前の事象として、別の車の刑務所車検後、車を青空駐車で保管していた時に、原因不明の窓ガラス破損があったらしい。刑務所側も身に覚えがなく、結局のところ別の修理業者を手配し、修理費用は車の持ち主が支払ったという。こういう事象があるというこを了承して欲しいとこの場で言われたが、さすがにそれは言うのが遅いんじゃないかと思った。しかしあとには引けなかったので、その旨を了承した。
前金(法定費用)として5万円ほど支払い、刑務所を後にした
帰りはバスにしたが、盛岡少年刑務所近くのバスは複雑で乗るバスを間違えた
4. 再び刑務所に赴き車を受け取る
車検自体は1週間ほどで終了したという連絡を受けたが、私の都合が合わず、2週間後の車の受け取りとなった車の状態を確認し、窓ガラスが割れているなどの状態がないことを確認した。車のボディはワックスで綺麗にされており、ドアを閉める際も手が滑って閉められないほどであった。車内もきれいに清掃されており、満足だと感じた。
ここで、法定費用以外の車検代として、33,027円を支払った。法定費用を合わせれば、
車検代の合計は、83,857円となった。
もし何か不具合があればまた連絡して欲しいと言われたが、特に不具合は起こらなかった
車検代比較・考察
車検代(見積もり)の比較を示すA社
B社
刑務所車検の請求額は、33,027円になっているが、税金等諸費用に50,830円の法定費用が示されている。つまり刑務所車検の車検代は83,857円
会社 | 車検代 |
---|---|
A社 | 130,567円 |
B社 | 90,114円 |
刑務所車検 | 83,857円 |
整備内容が異なるが、刑務所車検はC社より46,710円、B社より6,215円安い結果となった
安くなった要因は以下の通り
- B社のヘッドライト光軸調整やサイドスリップ調整は、刑務所車検では基本点検に組み込まれている
- ファンベルト交換の技術料(工賃)はB社より刑務所車検の方が安い
- 刑務所車検ではヘッドライトは交換ではなく隙間の部分に詰め物をしてもらったので、交換より安い
刑務所車検では技術料が2,916円のものしかないが、もしかするとこれはどんな作業でもこの値段なのかもしれない。ここは聞いてみればよかったと後悔している。
エンジンオイルもせっかくなので交換すればよかったと後悔している。一般的なエンジンオイル交換費用との差を知りたかった。
おわりに
今回の結果では、刑務所車検が安くなるような結果であったが、実際は車によって異なると思う。刑務所車検より安い整備工場もあるように思える。もし刑務所車検の技術料(工賃)が一律2,916円なら修理項目が多いほど安くなることも考えらえる。私は学生の頃に車検を行ったので、2週間ほど車がなくても不便は感じなかったが、一般的な生活?をしている人からすれば代車なしは厳しいように思える
一番困るのは、車を事前に見せることができないので、精度の高い見積もりができないことだと思う
そのため、結論としては多少安くはなる可能性はあるが、人を選ぶ車検であると感じた
ただ、珍しさを求めて刑務所車検をするなら悪くない選択肢だと思う
おまけ
ステッカーも刑務所と記載される